人権教育研究センターからのメッセージ
学生のみなさんへ
2020年4月16日
花園大学人権教育研究センター
所長 吉永 純
学生の皆さん
新型コロナウィルス感染症の拡大が止まらない下で、「第2次世界大戦以来の危
機」とか、「1929年の世界大恐慌以来の危機」など、私たちの生存や生活の危機
であることが叫ばれる状況になっています。とりわけ、学生、新入生の皆さんは、
新学期になっても大学の教室で行う授業が出来ず、登校もできない中で、課外活
動もできず友達とも会えず、何をどうしたらいいのか、途方に暮れている方も多
いのではないでしょうか。
こうした厳しい状況の下で、花園大学関係者をはじめ、すべての市民の人権擁護
を願う花園大学人権教育研究センターとしましては、2つのことをお願いしたい
と思います。
一つは、感染症の蔓延を防止し、自分と他人の健康と命を守るために、いわゆる
「3密」(密閉、密集、密接)をはじめ、人との接触はできるだけ避けることで
す。とりわけ、若い学生の皆さんの慎重な行動が、高齢者や障害者を始めとする
健康弱者への感染を防止することにつながります。自分が発症しなくてもウィル
スを運んでいるということを自覚して行動しなければなりません。
二つは、現在、感染症をめぐってSNSなどで他人を攻撃したり、誹謗中傷、差別
するような事例が発生していますが、このような行為を絶対にしないでいただき
たいということです。悪いのは新型コロナウィルスであり、感染した人ではあり
ません。また、ニューヨークでは日頃から貧困や差別に苦しみ、無理にでも外で
働かざるを得ない黒人やヒスパニックなどの感染率が高くなっているように、災
害は社会的弱者に大きなダメージを与えます。
大災害時には、デマや根拠のない風評、フェイク、バッシングなどによる人権侵
害が起こりがちにもなります。私たちは、こうした人権侵害を一つも見過ごすこ
となく、また、自分自身も、様々な情報に安易に流されず、主体的かつ冷静に行
動することが求められます。
明けない夜はありません(横田南嶺 花園大学総長)。私たち一人一人が、自ら
の人権を大切にし、また他人の人権を守ることによってこそ、新型コロナウィル
ス感染症による未曾有の危機を乗り越えることができると思います。そのことを
切に願うものです。