実習報告会が開催されました(その2)12月18日
実習報告会が開催されました(その2)12月18日
今年度、新型コロナウィルスの流行で、実習が行えるかが危ぶまれました。
しかし、実習を依頼した施設様の多くは「現場が感染予防対策をしっかり行いながら、利用者へのサービスを提供している。そこも含めて、学生さんに学んでもらいたい」と、実習生の受け入れをしてくださいました。このように、コロナ禍でも学生の学びをサポートしてくださった施設様に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。
実習報告会は、児童・障がい・高齢・地域等、さまざまな領域で行われた実習の学びを、今年度実習を履修した学生全員で共有する機会です。
今回は、その2回目(12月18日)の様子をお知らせします。
実習報告会には、実習施設の指導者の職員様のご出席もあり、報告に対するコメントをいただくことで、さらに学びが深まりました。
以下、各実習ゼミの報告の内容を簡単に紹介します。
櫛田匠先生ゼミ
【実習施設・機関】 児童養護施設、生活介護、就労継続支援、放課後等デイサービス、特別養護老人ホーム
櫛田ゼミは、櫛田先生の法人でとりくむ「ごちゃまぜ福祉」の拠点での約1ヶ月の宿泊実習を体験しました。
実習生からは、「子どもたちの言動や行動から、その行動に表れた気持ちの変化を理解していくために、普段から注意して子どもたちの様子をみておくことが大切」「大人に見てほしいという子どもたちの気持ちに上手に対応することが必要」といった学びが語られました。また、子どもたちのトラブルに対して「細かな視点と俯瞰する視点の両方が必要」と学んだということも語られました。
また、児童・障害・高齢と異なる施設での施設間、あるいは地域との交流についての学びも語られました。
矢野隆弘先生ゼミ
【実習施設・機関】 生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービス
矢野ゼミは、利用者との関わりの体験から学んだことを、それぞれの実習生が語りました。「信頼関係を築くうえでコミュニケーションが大切」「援助者の価値基準ではなく、利用者の立場・視点に立って支援を考えることが必要」「利用者の行動をサインと受け止め、その背景を理解していくことが大切」「利用者がなぜそのような行動をするのかを考えることが大切」「利用者にとって理解しやすいコミュニケーション方法(絵カード、ジェスチャー、PECS等)を選択することが必要」
これらの学びから、ソーシャルワーカーには利用者理解のために、さまざまなコミュニケーション技術や広い視野が必要であることが語られました。
また、ご参加いただいた実習指導者からも、「プロとして働くようになると、仕事は『利用者の人生に関わってしまうもの』である。しかし、それがソーシャルワーカーとしての面白さでもあることを知ってほしい」と励ましの言葉をいただきました。
塩田祥子先生ゼミ
【実習施設・機関】 特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人保健施設、老人デイサービスセンター、地域包括支援センター
塩田ゼミは「思い、悩み、楽しみ、笑い、葛藤が繰り返された日々」と題して、実習生それぞれの実習体験と、そこから考えたことが語られました。
「利用者が施設での時間を楽しんでもらえるようにする」「言葉、表情、態度、仕草、服装、髪型など、さまざまなところから利用者その人を理解する」「できることや隠れているストレングスに気づくこと」「五感が刺激される食事」「地域の人の力が地域を変えていく」「職員一人ひとりが同じ目標・方向性を見つめること」
また、ある出来事から、利用者の身体状態の安全を守ることと本人の気持ちを尊重することのジレンマを感じたということも語られました。
ご参加いただいた実習指導者から、「ジレンマを感じたことは大切。実践現場ではそこにとどまらず『では、どうするか?』を考える必要がある。そのジレンマについて、実習ゼミでどのような議論をしたかを教えてほしい」と質問があり、実習生とのやりとりから、さらに学びが深まった場面が印象的でした。
鳴海賢三先生ゼミ
【実習施設・機関】 児童養護施設、児童心理治療施設
鳴海ゼミは、子どもたちとの関わりの中から得た学びが、それぞれの実習生から発表されました。
子どもたちとの関わりに悩んだことを通じて「子どもの訴えていることに気づき、それを支援者側の気持ちで判断しない」「子どもの行動には意味があると考え、共感する」といった学び。また、施設内での自治活動に触れて、その進行方法、さらにその意味合いを「子どもの意見表明権を実現していく取り組み」と理解したこと。
施設では、子どもの権利を守るための取り組みと同時に、子ども一人ひとりの主体性を活かし、ストレングスを引き出す取り組みをしていること、職員集団全体で連携しながら支援をしていることなどを学んだことが語られました。
久保樹里先生ゼミ
【実習施設・機関】 児童養護施設、母子生活支援施設
久保ゼミでは、それぞれの実習施設の特徴を整理するなかで、共通する理念として「一人ひとりを大切にする支援、子どもたちの気持ちに寄り添う支援」を見つけました。
その上で、それぞれの実習生から、「環境整備、遊び、学習支援のそれぞれが大切なこと」「生活支援の重要性 生活支援を通して子ども一人ひとりを理解する」「環境整備の中で、子どもの興味の痕跡を理解していく」「家族再統合は子どもを中心に考える」「自立支援では、将来の幸せな社会生活を送るための、幸せになるための過程である」といった学びが得られたと報告されました。
コロナ禍の状況でも、実習生を快く受け入れ、現場実践についての学びを
示してくださった実習施設の職員のみなさま、ご利用者さまに感謝いたします。