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香港中文大学商学院(EMBA)のご訪問 (学内施設見学ツアーと記念講義の開催)

2024年12月6日(金)、香港中文大学商学院(EMBA)の諸氏が本学を訪問され、国際禅学研究所をはじめとした各所を見学するなど、交流が図られました。

今回お出ましになったのは、香港中文大学のEMBAに在学中の二年生の方がた(約50名余)で、中国大陸および香港出身が多く、全員が上場企業の高級管理職もしくは経営者とのことです。このうち5名が弁護士免許を有して国際金融に従事しておられ、日本のジェトロ・野村証券・楽天といった大企業や、東京大学・金沢大学・千葉大学などの研究機関と共同開発事業を展開している方もおられるそうです。その他の職種も、AI・製造業・物流・コンピューターなど多岐にわたり、主に40代の方が在籍して勉学に勤しんでおられるとのことでした。

まず、本学仏教学科の教員ならびに職員を挙げて、訪問団を歓迎するセレモニーを行いました。開会に先立ち、仏教学科主任で弊所兼任所員の小川太龍の主導の下、教堂の全員による般若心経の読経がありました。

花園大学を代表して、仏教学科教員である小川太龍・西谷功・余新星からの挨拶がありました。また、会の司会は弊所副所長の飯島孝良が務め、今回の訪問全体にわたる通訳は余新星が務めました。

【写真左から、余新星・西谷功・小川太龍】

 

これに応える形で、訪問団を代表しておふたりの先生より御挨拶を頂きました。

【写真左から、陳劍鍠先生・何燕生先生】

 

今回の訪問団を引率された陳劍鍠先生(香港中文大学教授・同大学人間仏教研究センター長)は、台湾大学・香港大学に学び、浄土学を専門としておられ、現在は香港中文大学EMBAで「仏教禅定実践」という科目の主担教員でいらっしゃいます。この科目は、昨年からスタートしたばかりだそうです。
その陳先生に本学ならびに国際禅学研究所を御紹介くださったのが、何燕生先生(郡山女子大学教授・武漢大学国際禅文化研究センター所長)です。何先生は、東北大学大学院にて博士号を取得され、『道元と中国禅思想』(法蔵館、2000年)などのご研究で日本と中国を股にかけて活躍しておられます。香港中文大学に「日本仏教の現状を実際に体験してはどうか」とアドバイスされ、今回の「東方管理思惟與禪定修行(アジアのマネジメント思想と禅修行)」と題した日本での研修プログラムが実現したということです。

続いて、無文館2階にある坐禅堂を見学して頂き、坐禅の作法や花園大学の成り立ちについて説明致しました。

【写真左より、余新星・飯島孝良・小川太龍・陳劍鍠先生・林聰明先生(仏光山教団系統大学副総学長)・何燕生先生】

 

その後、国際禅学研究所ならびに歴史博物館を見学して頂きました。国際禅学研究所では、弊所の諸活動(これまでの刊行物や調査成果)について御説明致しました。また、歴史博物館では、現在開催中の秋季企画展「100年遠諱記念 南天棒」を御覧頂きました。
※秋季企画展「100年遠諱記念 南天棒」の詳細については、以下のサイトより御覧ください。
秋季企画展「100年遠諱記念 南天棒」 – 花園大学

最後に、飯島孝良の記念講義が英語で行われました。

An Introduction to “Zen Culture” and Ikkyuと題して、20世紀までに「禅文化」に民主的性格や反権威的性格がイメージされてきたこと、あるいは西欧列強への対抗原理を「禅文化」にあるアジア的独自性に見出そうとしていたこと、そして室町時代に花開いた「禅文化」の象徴として一休が見出されてきたことなどを、岡倉天心や川端康成やドナルド・キーンらの著述に基づいて概観しました。中国では今なお一休の人気が高く、受講頂いてから熱烈な感想を多く頂きました。一休をはじめとした「禅文化」の提示する精神性がいかに現代人に着目されているか、強く実感されました。

陳先生からは、京都と香港にある両大学のあいだで、今後も是非とも学術交流を深めていきたいとお申し出くださいました。われわれとしましても、引き続き活発な協力関係が構築されれば有難く存じております。

この度の御訪問に、改めて深謝申し上げます。