臨床心理学科とは心理学を基礎から学び“こころ”の問題解決を図る
基礎と臨床(応用)の心理学を主に、社会福祉学や精神医学などの領域も学修し、“こころ”の問題を多角的に研究。病院や学校での実習も重視し、現場のニーズにあわせて多様な援助やカウンセリングができる人材の育成をめざします。
現代社会が抱えるさまざまな心の問題に対して、心理学的なアプローチから問題解決の糸口を探るのが臨床心理学。めざすのは、人の心を察し、人の心に寄り添えるプロフェッショナル。卒業後はその専門知識を活かし、福祉、医療、教育、司法、産業などさまざまな分野で活躍することができます。
- KEYWORD
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- カウンセラー
- 公認心理師
- 社会福祉士
- スクールソーシャルワーカー
- 特別支援教育
- 児童心理士
- 対人援助職
臨床心理を学ぶとは?
授業科目としては、広義の臨床現場を念頭に、心理学を段階的に学習し、その成果を社会に還元していくことを目指しています。具体的には、乳児から高齢者までの全生涯を見通す発達心理学、その過程で出会うさまざまな心理学問題を扱う臨床心理学概論、これに実践的な援助法としての心理学的支援法を加えた3つの科目を必修としています。そのうえで、心理的アセスメント、社会・集団・家族心理学、教育・学校心理学、司法・犯罪心理学、心理学研究法、感情・人格心理学などの心理関係科目、精神疾患とその治療、精神保健福祉論などの健康福祉関係科目を豊富に配置しています。
学びの特徴
- 01ステップアップ方式の学び
- 02カウンセリングセンター
での学び - 03将来を拓く4つのコース
01ステップアップ方式の学び
カリキュラムはステップアップ方式で学べるように構成。臨床心理学を基礎から応用・実践まで、学びを着実に積み重ねることで、確かな知識と技術を養います。
02カウンセリングセンターでの学び
公認心理師の資格をもつ教員が主となり、学内で「花園大学心理カウンセリングセンター」を運営。一般の方々へのカウンセリングを行っています。
03将来を拓く4つのコース
学生が希望する進路・職種あるいは興味関心に合わせて学べる4つのコースを設定。1年生から卒業まで、目標に適したサポートを行います。
- ①公認心理師を目指し、心理職として働きたい。社会福祉士として、臨床現場で働きたい[臨床実践コース]
- ②心理学を活用した組織人として企業や公的機関で働きたい[社会心理実践コース]
- ③発達や子どもの心理を学び、特別支援学校や児童施設、放課後等デイサービスなどで働きたい[子ども心理コース]
- ④自分を見つめ、人間の深層を知ることで自己を成長させたい [自己探究コース]
4年間の学び
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- 1年生
基礎を学び、実践力の土台を固める
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必修科目の「臨床心理学概論」や「発達心理学」、選択科目の「心理学統計法」「神経・生理心理学」「知覚・認知心理学」「社会・集団・家族心理学」などを学びます。誰もが初めて取り組む心理学について、まずは基礎科目を学び、実践力の土台を固めます。
- 1年生
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- 2年生
対人援助の基礎を学び、現場での応用につなげる
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必修科目の「心理学的支援法」や選択科目の「心理的アセスメント」「精神疾患とその治療」「精神科リハビリテーション学」「司法・犯罪心理学」「学校・教育心理学」などを通じてメンタルヘルス面の支援や援助の実際を学びます。ソーシャルワーカー(社会福祉士)を目指す方は演習や実習が始まります。
- 2年生
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- 3年生
学びをゼミで深めつつ、臨床に必要な知識を養う
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「臨床心理演習(ゼミ)」において、自身の取り組む研究テーマについて探求します。「心理学研究法」を選択することでより学びを深めることが可能になります。公認心理師(カウンセラー)を目指す方は「心理演習」が始まります。
「精神保健福祉士受験資格」は2023年度入学生より社会福祉学科にて養成
- 3年生
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- 4年生
学びの集大成に取り組み、将来につなげる
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3年生と同じゼミで自身の研究をすすめ、成果をまとめていきます。これまでの人生と4年間の学びを振り返りながら、今後の進路を定めていきます。公認心理師を目指す方は現場における「心理実習」に臨み、大学院への進学にも備えます。ソーシャルワーカーを目指す方は実習や演習に取り組みつつ、国家試験受験の準備をします。
「精神保健福祉士受験資格」は2023年度入学生より社会福祉学科にて養成
- 4年生
ピックアップ授業
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精神疾患とその治療
代表的な精神疾患について、公認心理師でもある精神科医師が講義を行います。臨床現場の事例を通じ、自身が患者さんやご家族だった場合、自身がカウンセラーなどの支援者であった場合など、多角的な視点から治療や支援方法について考えます。
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心理的アセスメント
さまざまな心理検査の目的・方法・解釈を多くの事例から学び、理解するだけでなく、心理検査を実際に受検および自己分析することにより、自己理解も深めます。
卒業論文のテーマ・研究テーマ
2023年度優秀論文
新型コロナウイルス感染拡大状況下におけるストレス反応と心理的リアクタンス特性の関連について
2022年度優秀論文
男子新体操選手の障害と外傷に関する実態調査
- 野球における集中力とパフォーマンスの関係性について
- スポーツにおける内発的動機付け
- 現代の若者の恋愛観について
- 性格特性が物語の登場人物への共感と好感に及ぼす影響について
- A大学学生の色に対するイメージの特徴について
- 心理学的な裏付けに基づいた自転車盗防犯対策に関する研究
- 感情の進化的理解と現代社会におけるマインドフルネスの役割と可能性
- 大学生におけるスマートフォン依存傾向が睡眠時間に与える影響について
- 大学生におけるあがりへの過度な意識集中が主観的成功感に与える影響に関する一考察
- ペットが人に与える癒やし効果について
- 禅と心理学の関係性、及びセルフケア・リラクセーション効果について
- リーダーシップ理論の理想と現実
- オタクの消費行動とその欲求
- スポーツ観戦の主観的魅力と効果に関する一考察
- チームスポーツの試合前における身体、精神的状態とパフォーマンス向上の方法
- いじめの四層構造をもとに考える社会的な環境への関わり方
- スクールソーシャルワークによる不登校支援について
- 対面時と匿名時のコミュニケーションにおける自己開示の比較
- 情報判断と集団心理の観点から考える思い込みや認知の影響力について
- 男子新体操選手の障害と外傷に関する実態調査
- コロナ禍におけるオンライン授業と対面授業の比較と心理的影響
- ストレスチェックによる不登校の第一次予防
- SNSの使用頻度と対人関係のストレス不安度に関する研究
「全ての人が「幸せ」に暮らせる社会を目指して。」
どのようなテーマを研究していますか?
専門分野は障害者福祉で、「継続性」に焦点を当てた研究を進めています。障害者の就労支援においては、単に就職を実現することだけが目標ではありません。就職後の異動など、本人の置かれた環境が変化しても働き続けられるように、継続的な支援のあり方や仕組みづくりを模索しています。
本学科でどのような力が身につきますか?
本学科では、心の悩みを抱えている人に寄り添い、問題解決に向けてどのような関わり方ができるのかを探究します。臨床心理学は、「人」がいる限り求められ続ける学問です。自己と他者、双方の気持ちを深く理解し、誰もが幸せに暮らせる社会を実現するために必要な理論と方法を学びましょう。
准教授 松田 光一郎
「座学だけではない「活きた」学びが児童への理解を深める。」
何を学んでいますか?
心理面から児童福祉をより深く学ぶために、教室で勉強することが難しい子どもの支援を行う活動に参加しました。実際に接してみると、教科書通りにいかないことが多々あります。その場で考えて、臨機応変に課題を解決する。座学に加え、現場での成長機会も活かしながら研鑽を積む毎日です。
今後の目標は何ですか?
多彩な授業や現場で子どもと触れ合った経験から、どのように支援することが自立につながるのかなど、多角的な視点で物事を捉えられるようになりました。理想とするのは個性を尊重し、誰もが活躍できる社会。将来は障害がある方などの社会参加をサポートする仕事に就きたいと考えています。
中大路 絢野 さん
臨床心理学科 2年生(取材時)
京都府 北嵯峨高等学校出身
「相手を信じて強みを引き出す「 支援者としてのあり方」。」
現在の仕事について
官民協働運営の刑務所で、受刑者の社会復帰支援に当たっています。犯罪に至った要因や心理状態を把握し、一人一人に適した改善更生のためのプログラムを設定。出所後を見据えて「その人がどうなりたいのか」を大切にしながら、日々業務に取り組んでいます。
印象に残っている大学時代の経験
臨床心理学科では、「相手を信じて強みを引き出し、自ら考えて行動できるようにサポートする」ことの重要性を学びました。受刑者の罪や考えを正すだけでは根本的な解決にはなりません。大学時代に身につけた「支援者としてのあり方」は、私の礎になっています。
SSJ株式会社
島根あさひ社会復帰促進センター
社会復帰支援員
廣瀬 佳奈子 さん
臨床心理学科 2022年卒業
愛知県 クラーク記念国際高等学校出身
所属等はインタビュー当時のものです。
取得可能な資格一覧
- 高等学校教諭一種免許状(福祉)
- 図書館司書資格
- 特別支援学校教諭一種免許状(知的・肢体・病弱)
- 健康運動実践指導者認定試験受験資格
- 社会福祉士国家試験 受験資格
- 博物館学芸員資格
- 公認心理師国家試験 受験資格※
- スクールソーシャルワーカー など
- 認定心理士資格
省令に定める期間の実務経験あるいは大学院での学修が必要
卒業後の進路
卒業後の主な進路
社会福祉施設、病院、児童養護施設、一般企業、公務員(福祉職・警察・消防等含む)、大学院進学 など
公務員試験を経て児童相談所や家庭裁判所などで心理職として働いたり、本学の大学院社会福祉学研究科(臨床心理学領域)に進んで公認心理師や臨床心理士を目指すことも可能です。その他、一般企業の人事部門で働いたり、心理学的知識は社会のあらゆる分野で活かすことが可能です。